328日目 日本の記憶をいつまでも大切に。(2021/12/24)
ハマターンの季節がやってきた。
前がくぐもって見えるくらい、砂が舞っている。
砂が日差しを遮ってくれるおかげで、朝夕は涼しい。
ただ、朝起きた時の鼻の穴が痛く感じるくらいの乾燥と砂砂しさがあるので、この季節は苦手だなあ、と思う。
約7年前に研修で日本に来た同僚。
研修期間は6週間。
仕事の合間にその時のことをよく話してくれる。
往々にして、ガーナ人は日本人と比較すると整理整頓はあまり上手いとは言えない。
書類は基本平積みで乱雑にもほどがあるのではとコメントしたくなるくらいに山積みで、「整理整頓」という概念が存在しないのではないかと思うくらい。
あまりに規則性のない乱雑さが芸術的とさえ言いたくなる。
よくその山から発見できるな、と感心しつつ、渡された物を見てみる。
研修案内、身体測定の記入例、新幹線の車内販売で買った日本のガイドブック。
一見、乱雑に扱っているように見えるが物を大切に思っていないわけではないようで、同僚は「研修の時の資料だ」と言ってボロボロになった資料を見せてくれる。
特にCPは日本人からもらったものたちを大切に持ってくれている。
幼稚園の見学に行った時、一人の子供が懐いて、見学が終わって帰るときに服についていたボタンを引きちぎってくれたらしい。
それを大事に何年も保管している。
そんな風に日本の思い出を大切に思ってくれていると、なんだか嬉しい気持ちになる。
よくガーナ人にはなんでガーナに来たんだと聞かれる。
俺は日本に行きたいと。
毎日のように通りすがりに出会った人たちに、
「日本に帰るときは一緒に連れってね。」
と言われる。
確かにガーナの物価を考えると、飛行機で行くには途方もない値段がかかる。
それ以前にパスポートの取得やビザが大変だろう。
だからこそ、CPは勤勉さが買われて日本に研修に行けたことを誇りに思っているし、その時のことを嬉しそうに語ってくれる。
そんな風になかなか簡単に来れない中で、遥か遠い日本に訪れた外国人をこれからは大切にしたいと思ったし、CPにとって日本が特別なように私にとってもガーナが特別な場所になったなと思う。